ドクター相談室「イヤホン入れると、右耳のかゆみが出ます。」
イヤホン入れると右耳の痒みが出ます。
酷い時は水が出ていてそれが中で固まってしまいます。他にも耳たぶや裏側も痒くて皮が剥けて水が出ます。マイザー軟膏0.05%を処方されてそれを使うと一時的に治まりますが、イヤホン使うとまた再発します。これもアレルギーなのでしょうか。
耳の病気を説明する前に、耳の構造について簡単に話しましょう。
耳は、「外耳」・「中耳」・「内耳」の3つに分けられます。
耳たぶから鼓膜までが「外耳」、鼓膜から三半規管の手前までが「中耳」、さらにその奥が「内耳」です。
「外耳」は音を集め、「外耳道」でラッパの管のように音を大きくします。普段、綿棒や耳かきで掃除している「耳の穴」は、この「外耳道」ですね。
「外耳道」で大きくなった音は、振動として鼓膜に伝わり、鼓膜にくっついている骨から「中耳」へと伝わります。「中耳」は粘膜におおわれた空洞。よく耳にする『中耳炎』は、この鼓膜の奥の「中耳」に細菌が入り、炎症が起こる病気。炎症が進むと、膿があふれ、鼓膜を破ることもあります。
そして、「中耳」へと伝わった振動は、聴覚と平衡感覚をつかさどる「内耳」で電気信号に変わり、「聴神経」を通って、脳へ伝達されます。
耳から脳へ音が伝わるイメージ、つかめました?
イヤホンを入れると耳が痒くなるとのこと、アレルギーを疑われていらっしゃるようですが、もともとアレルギー体質なのでしょうか。
イヤホンのトラブルで多いのは、「アレルギー性外耳道炎」といって、イヤホンの素材に耳がアレルギー反応を示し、痒みや痛み・耳だれを引き起こす病気です。アレルギー体質の方がなりやすく、からだが疲れていたり、栄養不足のときに起こりやすいものです。
「外耳道炎」というのは、「外耳道」が炎症を起こす病気。大半が、耳の掃除のしすぎや指でひっかき、「外耳道」に傷をつけてしまうのが原因で、そこから細菌感染して、痒みや痛み、耳だれが生じます。
また、「外耳道」に傷をつけなくても、金属やゴムなどにアレルギーを起こしたり、整髪料やヘアカラーなどの刺激物によっても、「外耳道」に炎症が起こることもあります。
さらに、耳たぶや耳の裏側も痒く、皮がむけていらっしゃるようですが、「外耳道湿疹」も考えられます。「外耳道炎」とともに、「外耳」に傷がついて細菌感染を起こしたり、金属や刺激物の接触アレルギーなどにより、湿疹やかゆみが生じる病気です。気づかないうちに耳に触ってしまい、皮膚がぼろぼろはがれおちたり、透明な分泌液が出たりもします。
どちらの治療も、患部を清潔にしたうえで、痒みをおさえる「痒みどめ」や「鎮痛剤」、炎症を抑え込む「抗生物質」などの薬を飲んで治療します。また、ステロイドの入った軟膏を直接塗ったり、耳にさす「点耳薬」を使うこともあります。通常は、1週間程度でよくなりますが、完治する前に勝手に治療をやめてしまうと、炎症が耳の骨まで及ぶこともあるので、注意が必要です。
マイザー軟膏を使ってらっしゃるのですね。マイザー軟膏も炎症やアレルギー反応を抑える薬。ただ、イヤホンに対するアレルギーの場合は、接触すると炎症が起きてしまうので、イヤホンの素材を変えることをおすすめします。今は、イヤホンの種類も豊富ですよね。
なお、耳の症状が改善しないときは、耳鼻科でドクターにご相談ください。「悪性外耳道炎」という緑膿菌に感染することで、骨まで破壊し、頭蓋骨の中まで炎症が及ぶおそろしい「外耳道炎」もありますから。