どうする? 体に危険な異所性脂肪の対策法
メタボ体型でなくても、やせている人でもたまるといわれる異所性脂肪。前回は、異所性細胞とは何か? なぜたまるのかをお話しました。今回は、異所性細胞が体に及ぼす影響と対策についてお話します。
臓器の働きを悪くして、重大な病気につながるおそれも
本来脂肪がつくはずのない筋肉や内臓についてしまう異所性脂肪。いったんついてしまうと体に悪影響を及ぼすといわれています。いったいどんな影響が出てくるのでしょうか。以下に簡単にまとめてみました。
■心臓に蓄積した場合
脂肪から産生された物質が血管の壁に直接影響し、動脈硬化や心筋梗塞の原因となる。
■膵臓に蓄積した場合
脂質が蓄積すると、血糖を下げるホルモン・インスリンの分泌が低下して糖尿病の発症につながる。
■肝臓に蓄積した場合
ひどくなると脂肪肝になり、さらにはNASH(非アルコール性脂肪肝炎) になるおそれがある。NASHが悪化すると肝硬変、肝臓がんのような重大な病気につながる。
■筋肉(骨格筋)に蓄積した場合
骨格筋は糖をエネルギーに替え、活動エネルギーに替える働きをしている。骨格筋に脂肪が蓄積すると、糖を取り込む能力が低下し、糖尿病の発症につながる。
異所性脂肪のあるなしは、健診結果が重要な手がかりに
知らず知らずためこんでしまうといわれる異所性脂肪。自分は異所性脂肪があるかどうか気になるところです。異所性脂肪は、腹部のCT検査やふくらはぎのMR検査で調べらことができますが、そんな大がかりな検査をしなくても、比較的簡単に目星をつけることができるといいます。それが健康診断健診です。
具体的にはLDLコレステロール値、中性脂肪値、ALT、GOT、GPT、γ-GTPなどの数値が正常値の範囲より多くなった場合は、異所性脂肪を疑ったほうがよいといわれています。
また、人間ドックなどで脂肪肝と言われた場合は、肝臓に異所性脂肪が蓄積されているということになります。さらに、脂肪肝の人は、膵臓にも脂肪が蓄積している「脂肪膵」を合併している可能性が高いそうです。
その他、40歳以上の男性や閉経後の女性、筋力が衰えたのに体重が変わらない人、体重が増えていないのにズボンやスカートがきつくなった人、残業や深夜勤務などで食生活が不規則な人も、異所性脂肪をためやすいといわれているので要注意。さらに専門家によると、やせている人ほど異所性脂肪がたまりやすいといいますから、やせ型の人も無関係ではいられません。知らず知らずのうちに異所性脂肪をためないように気をつけましょう。
異所性脂肪は、つきやすいけれど減らすのも簡単
いったんついてしまうと、体に悪影響を及ぼす「異所性脂肪」ですが、実は、運動不足や高脂肪食、暴飲暴食といった乱れた食生活で簡単にたまる反面、簡単に落としやすい特徴もがあるといいます。
ポイントは生活習慣の見直しにあります。
運動不足にならないように、とくにデスクワークの人は、適度の運動を心がけること。仕事が多忙で運動時間がつくれない人は、通勤時に大股、速足で歩き、駅ではエスカレータを使わず階段を上るといった心がけを。
また、バランスのとれた規則正しい食生活も大事です。揚げ物など高脂肪食は控えめに。意識的に魚をとりましょう。魚料理はめんどうという人は、さばの缶詰やツナ缶を上手に取り入れるといいですね。
「適材適所」という言葉がありますが、「異所性脂肪」はまさにその反対の「不適材不適所」に脂肪がつくというべきもの。これからの時期、忘年会や新年会が続きます。異所性脂肪がつかないように心がけ、ついたらすぐ落とす心がけが大切なようです。
<参考資料>
平成28日11月13日付東京新聞日曜版
<参考URL>
「みんなの家庭の医学」番組サイト「太っていなくても要注意! 第3の脂肪とうまく付き合う方法」(ABC朝日放送)
http://www.asahi.co.jp/hospital/archive/doctor/broad_120424.html