太る原因は「やみつき」にある?
「食べはじめたら止まらない」「毎日それを食べないと気がすまない」・・誰にでもそんな食べ物の1つや2つはあるでしょう。いわゆる「やみつきになった」などといわれるものですが、おいしいものを食べるとなぜ「やみつき」になるのでしょうか? 太る原因はこの「やみつき」と関係があるのでしょうか?
「やみつき」になる理由は、「油」と「甘さ」と・・?
「やめられない、とまらない、×××えび××」・・というキャッチフレーズのテレビコマーシャルがかつてありました。たしかに実際に食べてみると「やめられない」おいしさを感じたし、今でもやはり、食べるとなかなかやめられません。
「やみつき」という言葉は「病み付き」と書き、もともとは「病気にかかること。また病気のかかりはじめ」という意味だったものが、「物事に熱中してやめられなくなること」(ともに三省堂「大辞林」より)という意味として使われるようになったようです。
そういえば何かに「やみつき」になっている人のことを「もう病気だね」とか「そりゃほとんど病気だよ」などといったりしますが、この2つの言葉の間には深い関係があったのですね。
ではなぜ人は「やみつき」になるのでしょうか?
元京都大学教授、伏木亨先生(現在、龍谷大学農学部教授)のマウスを使った実験によると、油脂と出汁、砂糖は、おいしさを感じさせる快感物質をいっぱいだしてくれるらしいです。つまりこの3つには「やみつき」誘因があるというのです。
また、畿央大学の山本隆教授の論文によると、おいしいものを食べると脳の中でβエンドルフィンという麻薬に似た物質が分泌されるらしいです。これはドーパミンという物質の分泌を促して、「もっと欲しい、もっと食べたい」という気持ちにさせ、そこにさらにオレキシンという物質が分泌されることで、実際に食べるということになるらしいです。
こうした脳内物質の分泌によって人は特定のものに格別のおいしさを感じ、たちまちその虜となり、「やみつき」はできあがっていくというわけですね。
「やみつき」誘因のトップは油脂?
伏木教授が行なったマウスの実験では、マウスがレバーを押す回数で「やみつき」の度合いを調べたのですが、油脂が150回、砂糖水が50〜60回、出汁が50〜60回だったそうです。やはり油脂が断然トップでした。油単独ではとくに味や旨味は感じませんが、食べ物に油を加えるとコクと旨味が出てきます。油味は甘味、苦味、塩味、酸味、旨味に次ぐ「6番目の味覚」という議論もあるほどです。
ということで、油脂といえばハンバーグにトンカツ、カツ丼、カレーライス、ラーメンなどのおなじみの人気メニューを連想しますが、これらに共通するのは高カロリー!やはり「やみつき」メニューと肥満には限りなく「クロ」に近い深〜い関係があるようです。
町を歩けば、油で揚げるにおい、肉を焼くにおい、しょう油ダレのこげるにおいなど、食べたい誘惑に負けてしまいそうな、おいしい快感が満ちています。
先の山本教授によると、「異なる味を一緒に食べるとおなかがいっぱいでも食べたい欲求が生じるようになる」そうです。甘味と塩味、甘味と油味、甘味と酸味も「やみつき」を誘う組み合わせということです。
どうです、この味の組み合わせに心当たりありませんか?
「やめられない、とまらない・・」
そう感じたら、それは禁断の食べ物のあかし。体のことを考えたら、いますぐやめるのが正解!・・ではありますが、あまり禁欲的になるのもストレスの元ともいいます。
「たまにはいいんじゃない」「きょうはスペシャルな日なんだから」・・そんな自分への言い訳もときには必要かもしれませんけどね。
<参考URL>
*「おいしさからやみつきに至る脳内プロセス・山本隆」(社団法人におい・かおり環境協会)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jao/38/3/38_3_200/_article/-char/ja/
*「おいしさはコントロールできる・伏木亨」(宣伝会議)
https://mag.sendenkaigi.com/senden/201508/wonder-perception/005751.php
*「健康カプセル! ゲンキの時間」(TBS系列)
http://hicbc.com/tv/genki/archive/130623/