プラスコラム
PLUS COLUMN

減量の落とし穴、 落とすべきは体脂肪

薄着になると気になるのが、二の腕やおなか、腰や背中にについたぜい肉。

ぽよよんとはみ出たお肉を見ながら、あらためて「体重落とそう!」とダイエットを決意している人も多いのではないでしょうか? 

でも、ちょっと待ってください。

落とすべきは体重ではなく体脂肪なんです。

 

食事を減らすだけじゃなぜダメなのか?

「炭水化物抜きダイエット」、「1食置き換えダイエット」、「これだけダイエット」など、世の中にはさまざまなダイエットが氾濫していますね。

みなさんも1つくらいは流行の「○○ダイエット」にトライしたことがあるのではないでしょうか? 

でも、耐えきれずに食べてしまって、あえなく挫折。

すぐに元の体重に戻ってしまったという人も多いようです。

 

間違ったダイエットが招く体調不良

食べる量を極端に減らしたり、思いきった食事制限をすると、たしかにスルスルと体重は減っていきますが、実は脂肪を燃やしてくれる肝心な筋肉も減ってしまうのだそうです。

また、女性の場合は女性ホルモンのバランスが崩れて、生理が止まってしまうことも。

女性ホルモンのエストロゲンは、骨を強くする働きがありますから、生理が止まれば、若くても骨がもろくなる骨粗しょう症予備軍の危険がある、と専門家は指摘します。

さらに、十分な栄養がとれないために、骨や血液、筋肉をつくる栄養も不足して、貧血や冷えなどさまざまな体調不良になるというのです。

 

リバウンドするとよけいにやせにくくなる!

ところで、もう一つ。

極端なダイエットの反動からリバウンドすると、よけいにやせにくい体質になってしまうといわれています。

そもそも、私たちの体には、飢餓に備えてエネルギーを脂肪として蓄えようとするしくみがあるそうです。

そのため、食事をむやみに減らしていると、体が飢餓に備えてエネルギー消費量(代謝量)を節約するようになります。

そのため、ダイエットに挫折して元の食事に戻しても、体はエネルギー節約モードに入ったままですから、当然摂取カロリー量が過剰になってしまう。つまり前よりよけいに太りやすくなるというわけです。

アメリカのカリフォルニア大学の研究グループの調査によると、ダイエットで体重を減らした人の3人に2人が、5年後には最初に減った以上に体重が増えているという結果が出たそうですから、やはりリバウンドはなんとしても避けたいものですね。

 

ダイエットの近道って……

減らすべきは、体重ではなくて、体に余分に蓄積された体脂肪です。

そして体脂肪を減らすには、運動がいちばん。

といっても、今までなにも運動してこなかった人にとって運動しろ、いうのはなかなかハードルが高いですよね。

「運動する時間がない」という人も多いことでしょう。

そこで、「運動しよう!」と大上段に構えずに、まずは少しずつ動いて全体の活動量を上げることからトライしてみませんか? 

通勤時は早歩きで駅に向かう、駅のエスカレータは使わず階段を上る、いつもより遠回りしてランチに行く、など。

食べ過ぎを見直しつつ、1日の活動量を上げる……小さな積み重ねがリバウンドなしのダイエットへの近道のようです。

どんどんお金がもうかる、という儲け話が危険なように、どんどんやせるダイエットは危険。

お金儲けもダイエットも、「地味にコツコツ」「着実に」が王道のようです。

 

<参考資料>

「今日の健康」通巻181号(NHK出版)

 

<参考URL>

gooニュース「ダイエット最大の敵『リバウンド』その原因と防止策は?

https://news.goo.ne.jp/article/kurashinista/life/kurashinista-20161014_1000002554.html

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。