夏冷えのお話――その2
エアコンのCMで、オードリーの若林さん演じる「暑がりさん夫」と杏さん演じる「寒がりさん妻」が、エアコンの設定温度をめぐって、リモコンを取り合うシーンがあります。
「わかる、わかる」とCMを思わずうなずいている人も多いのではないでしょうか。
オフィスでも往々にして男女間で起こる冷房の設定温度バトル。
でも、なぜ女性は冷えやすいのでしょうか。
「寒がりさん」と筋肉の関係
女性が男性に比べて冷えやすい原因のひとつに、からだの筋肉量の違いがあります。
からだの中でもっとも熱を生み出しているのが筋肉で、筋肉は実にからだの熱エネルギーの約6割を産生しているそうなのです。
寒さを感じると私たちのからだはブルブルと震え出しますが、これは筋肉を収縮させて熱エネルギーを生み出しているから。
つまりブルブル震えることで、熱を生み出し体温を上昇させているのです。
一般的に体重に占める筋肉量の割合は男性が40%、女性は約35%程度だといわれています。
女性は筋肉量が少ない分、熱を生み出す力が弱いというわけです。
また、女性のからだは男性と比べて脂肪の量が多いという特徴もあります。
脂肪は熱の放出を防ぐ働きがありますが、一方でいったん冷えると、なかなか温まらない性質を持っているといいますから、からだの脂肪量が多い女性の場合、からだを冷やしすぎない注意が必要。
冷え対策を早め早めに講じて、積極的に冷えを解消していくことがポイントのようです。
からだの構造的な違いも、冷えの男女差をつくる一因に
また、冷えに関する男女の違いは、からだの構造的な違いも関係しているそうです。
男性の場合、骨盤の中には直腸や膀胱、尿道があるだけですが、女性の骨盤の中にはそのほかに、卵巣や子宮などの臓器も詰まっていますから、男性に比べて腹部の血流が悪くなりがち。
そのうえ生理周期にあわせて女性ホルモンが変化し、それにあわせて体温調整の役割を担っている自律神経も乱れて冷えが起こりやすい条件がそろっているといえます。
女性は、積極的な冷え対策を
男性は夏もスーツにネクタイ姿ですが、それに比べて女性のファッションは腕や肩を出したり、足元も素足でサンダルで過ごすことが多く、からだを冷やしがち。
からだを締め付ける下着も、血行を悪くして冷えの原因になるといいます。
さらに、食事制限ダイエットで熱を生み出す筋肉を落としてしまったり、栄養不足になることなども冷えに拍車をかける大きな要因になるそうですよ。
毎年のように繰り広げられる、冷房の設定温度バトルの背景には、こんな男女の違いが関係していたのですね。
オフィスでは、家庭のように気軽に冷房の温度設定ができません。
女性は無防備でいると冷えがどんどんからだの中に入り込みやすいことを頭に置いて、積極的に冷え対策を行いたいものですね。
<参考資料>
*「ウィメンズ・メディカ」(小学館)
*「女も知らない女のカラダ」(経済界:対馬ルリ子)
*「ターザン」(マガジンハウス No..631)