美白を目指すと骨がスカスカに?
紫外線対策を完璧にすればするほど骨粗鬆症などになりやすくなるらしいことが、最近の研究で分かったそうです。
シミやシワのみならず皮膚がんや白内障など、紫外線を浴びることによる害はよく知られていますが、浴びないことによるデメリットもやっぱりあったんですね。
悩ましいことがまた1つ増えてしまいました……。
美白女子はビタミンD不足。骨の形成にも影響?
新聞などの報道によれば、大阪樟蔭女子大学などの研究チームが、20代の女性101人を対象に2016年から1年間、日焼け止めの使用頻度などについて調べたところ、
日焼け止めを週に3回以上使うグループの血中ビタミンDの濃度の平均が、厚生労働省が定めた基準を下回る「欠乏状態」だったということです。
ビタミンDというのは、骨の形成にかかわる大事な栄養素といわれ、食事から摂取する以外に紫外線を浴びることで皮膚で合成されるということです。
「えっ? 骨をつくるのはカルシウムじゃなかったの?」
なかには驚かれる人もいることでしょう。
じつはカルシウムだけ食べても吸収率が悪く、カルシウムをたくさん摂取すれば骨がつくられたり、骨が丈夫になったりするわけではなかったのでした。
ビタミンDは体内でカルシウムの吸収を助けたり、骨を強くするのを助けてくれるはたらきがあるというのです。
でも食事だけで必要量をまかなうのには不十分で、紫外線を浴びることで不足分を補うようなしくみを生物進化の過程で得たのだといわれているようです。
ビタミンDが不足するとどうなるか?
骨粗鬆症になりやすくなるらしいです。
骨粗鬆症とはご存知のように骨の密度が薄くなり、お麩のようにスカスカになって折れやすくなる病気。
昔は年寄りの病気のように思われていたようですが、最近では若いころから骨粗鬆症のリスクが心配されているようです。
完璧な紫外線対策がビタミンD不足を招く?
1980年代半ば、オゾン層の破壊が指摘されたりして、紫外線が脚光を浴びました。
「日光浴」という言葉が消え、かわりに「外気浴」という言葉に置き換えられましたのもそのころだったのかも……。
紫外線はシミ、シワ、ソバカス、皮膚がんや白内障の原因になるということで、天気予報で「紫外線情報」が流されるまでになりました。
そして今、日焼け止めクリームにサングラス、UVカット用の帽子に、腕全体をおおう長い手袋、日傘等々……紫外線は「いっさい入ってこないで」的な、一分の隙もない完璧なUV対策でわが身をおおう女性のファッションは、すっかり日本の夏の風物詩として定着したともいえます。
なのになのに……それほどまでにして紫外線を避けていたというのに、骨の形成に欠かせないビタミンD不足を招き、骨粗鬆症のリスクまで高めていたとは、自虐的というか皮肉なことです……。
「じゃ、どうすればいいの?」
「日光浴して紫外線をガンガン浴びろとでもいうの?」
そんな怒りの声もごもっとも。
何をいまさら……というのがおおかたの反応でしょう。
では、実際、紫外線を浴びるのがいいのか、やはり浴びないほうがいいのか、どっちなのでしょう?
「はっきりしろい!」「白黒付けてくれッ!」という声も聞こえます。
さらにビタミンD不足は、骨粗鬆症以外にもさまざまな病気の要因にもなるといわれます。……それらについては次回以降、ご紹介したいと思います。
<参考資料>
*「日焼け止め使用でビタミンD不足…20代女性に調査」(毎日新聞/2017年7月12日)
<参考URL>
*「紫外線環境保健マニュアル2015」(環境省)
http://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf
*「完璧なUV対策は骨粗鬆症を招く?」(日経グッデイ)
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100014/052700010/