プラスコラム
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ビタミンD、足りてる? ほどほどの日光浴がもたらす効果

浴び過ぎればシミ、シワはいうに及ばず、皮膚がんや白内障などのリスクが増大する紫外線。

といって紫外線を浴びないことで骨粗鬆症にはなりたくないし……。

紫外線は浴びないほうがいいのか、それとも浴びたほうがいいのか……どっち?

 

「ほどほど」の日光浴で紫外線を浴びたほうがいい?

健康のためには、紫外線を浴びないほうがいいのか、それとも少しは浴びたほうがいいのか……どっちなのでしょう?

専門家によれば適度なビタミンDを生成するためには、「ほどほど」「ある程度」紫外線を浴びるのがいいそうです。

ただ「ほどほど」とか「ある程度」といわれてもねえ……。

 

環境省「紫外線環境保健マニュアル2015」によれば、紫外線を浴びる時間の目安として、たとえば東京都心の8月1日の昼ごろ、天気は少し雲がある程度の晴れという条件下なら、両腕と顔(日焼け止めを塗らない)を露出して外出すること3分……だそうです。

冬なら1月1日の昼ごろ、同じ天気の中、顔と手を露出して50分……だとか。

ただし地形的に南北に長い日本ですから、南にいけば浴びる時間が短くなるし、北にいけばもう少し時間が必要かもしれません。

地形や気象条件、時間によっても違いがあります。山や海、雪などの自然条件だと紫外線は強くなります。

いずれにしても紫外線はまったく浴びないのはビタミンDの生成の面からはよくないし、浴び過ぎれば健康上のリスクもともなうということになるわけで、

やはり「ほどほど」ということなんでしょうね。

 

紫外線を避けることで起こる体のトラブルとは?

それでも「やっぱり紫外線は絶対浴びたくない!」という人もいるでしょう。

となると食事からといったことになるのでしょうが、食事などから摂取したビタミンDのすべてが、そのまま使われるわけではないようですし、必要量を食事だけから摂るのは困難とされています。

実際に血液中のビタミンDを計測してみると、とくに女性に不足している人が多いようです。

 

ビタミンDが不足すると、食事でカルシウムを摂っていても十分に体に吸収されずカルシウム不足におちいり、骨粗鬆症以外にも骨が変形する骨軟化症といった病気になったり、がんなどにかかりやすくなるといわれています。

 

最近の研究ではビタミンDは、がんの予防や感染症の予防、自己免疫疾患の予防などにも効果があるとされているようです。

 

紫外線には好ましくない作用があるとはいえ、やはりほどほどの日光浴はしたほうがよさそうではあります。

そのときには「紫外線対策はしない」というのが基本だそうです。

時間帯としてはできれば日差しの強い午前10時〜午後3時の間は日光浴は避けたほうが無難かも。

それから室内でガラス越しに日光を浴びればいいのでは、という人もいるようですが、あまり効果がないようです。

ちなみにSPF30の日焼け止めをして日光浴をした場合、皮膚でのビタミンDの生成は5パーセント以下に落ちてしまうということです。

 

ビタミンDを多く含むたべもの

ところで食べ物に含まれるビタミンDですが、サケ、ウナギの蒲焼き、サンマ、カレイ、ヒラメといった魚類に多く含まれているようです。

キクラゲなどのキノコ類にも多く含まれていますが、その他の食品には少ししか含まれていないため、食べ物からビタミンDを継続的に必要量を得るのはむずかしいよう。

やはり適度な日光浴が必要ということになるわけです。

 

好ましい相手とはいえないけど、むげにはできない。

付き合い方がむずかしい、まことに悩ましい紫外線ではあります。

こういう人って職場にいません?

 

 <参考資料>

*「日焼け止め使用でビタミンD不足…20代女性に調査」(毎日新聞/2017年7月12日)

 

<参考URL>

*「紫外線環境保健マニュアル2015」(環境省)

http://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf

 

*「完璧なUV対策は骨粗鬆症を招く?」(日経グッデイ)

http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100014/052700010/

 

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。