
甘い菓子パンはパンなのか? お菓子なのか?
パンは相変わらず人気のようです。
「行列を見たらパン屋さんと思え」といわれるほどです。
パンといえば食パンやコッペパンなど、いわゆるパンそのもののことだと思っていましたが、菓子パンや惣菜パンもパンといわれているんですね。
でも、あの甘く味付けされた菓子パンってスィーツな感じもしないでもなく、主食のように食べて大丈夫? って思うのですが……。
甘くて、モチモチして、トロリとしたものを「パン」と呼んでいいの?
パンとは白米と同じように毎日食べる主食のことをいうのだと思っていました。
おなじみの食パン、バゲットとかベーグル、コッペパンなどいろいろありますよね。
でも農林水産省の「パン類品質表示基準」というのを見ると、パンとは「小麦粉に穀粉類を加えたものを主原料にして、そこにイースト、水、食塩、ブドウなどの果実、卵、砂糖、油脂、乳・乳製品などを加えて発酵させて焼いたもの」となっています。
果実や卵、砂糖、乳製品(つまりバターですよね)などを加えて……とあるのはいかにも甘いもの好きの日本らしく、ヨーロッパなどでの果実も砂糖も乳製品も加えていないものをパンというのとはちょっと違うみたいです。
この表示基準には、あんパンやクリームパンもパンの仲間としています。
また、チョコレートやジャム、ナッツ類の入ったパンも同じパンとしています。
つまり、中身にかかわらず四角や円柱状に焼いたものを食パンといい、それ以外を菓子パンというようなのです。
かなり大雑把で拍子抜けです。
米に変わる主食をパンというふうに考えると、果実も砂糖も乳製品も入っていないのが望ましいと思うのですけどね。
百歩ゆずってあんパンもクリームパンもうぐいすパンも「パン」としましょう。
でも、ナッツやブルーベリーや生クリームがのったデニッシュ系の甘くてトロけるような菓子パンを「パン」と呼ぶのはいかがなものかと思ってしまうのです。
ちょっと抵抗がありませんか?
パン屋さんで売っているからやはりパンなのかもしれないけれど……いや、でも、やはりそれは厳然たるお菓子、スィーツ系だろうなあ……。
イートインを併設したパン屋さんのテーブルで、そんな甘い菓子パンを夢中で頬張っている幼い子どもを前に「うちの子はパン好きで……」なんてうれしそうにしゃべっている母親を見かけたりすると、他人のことながら「将来、この子はメタボになるのかなあ……」なんて余計な心配をしてしまうこともあります。
菓子パン1個でご飯2杯分のエネルギー?
ご存知のように菓子パンは想像以上に高エネルギーです。
たしかに菓子パンは手軽だし、甘くておいしいので、おなかがすいたときの「腹の足し」としては適しているかもしれません。
でももし主食として食べているのならやめるか、回数を減らすか、おやつとして食べる程度にしておいたほうがよさそうです。
参考までに菓子パンのエネルギーですが、あんパン305kcal、クリームパン289kcal、あんドーナツ386kcal、アップルパイ508kcal、オールドファッションドーナツ504kcal、カレーパン384kcal……などどれも高エネルギーです(いずれも1個当たり/山崎製パンHPより)。
ご飯茶碗1杯が約180kcalですから、菓子パン1個でご飯2杯以上に相当します。
菓子パンを1回に2個も3個も食べる人がいますが、まさに丼飯2杯以上をペロリと平らげる大食漢です。
菓子パンは高エネルギーに加えて油脂類や糖類も多く含まれていて「太るには最適?」な食べ物といえるかもしれません。
「パンは米より健康的」とか「パンより米のほうが太る」といったイメージをもつ人がいるようですが、菓子パンは前述の通りだし、食パンでも1枚180kcalと米と同程度のエネルギーです。
俗に「茶色の食べ物は体に悪い」というふうにいわれます。
トンカツ、唐揚げ、カレー、各種の揚げ物、焼き肉など……どれも高エネルギー、高脂肪、食べ過ぎには注意したいものばかりです。
菓子パンも茶色……。ちなみにコロッケパンなどの惣菜パンも高エネルギーです。
茶色を茶色ではさんだ茶色の二重奏……そんなこというとパン派から抗議を受けてしまいそうですね。どうかお許しください……。
逆に「茶色い食べ物は体にいい」ということもいわれています。
次回は、そんな茶色食についてご紹介したいと思います。
パン好きの人は安堵してくれるでしょうか……?
<参考図書>
*「五訂版最新食品標準成分表」(㈳全国調理師養成施設協会編)
<参考URL>
*「パン類品質表示基準」(農林水産省)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/kijun_30_110930.pdf
*「山崎製パンオフィシャルサイト」(山崎製パン(株))
https://www.yamazakipan.co.jp/
*「栄養成分一覧表」(日本マクドナルド(株))
http://www.mcdonalds.co.jp/quality/allergy_Nutrition/nutrient2.php?id=1