魚好きに朗報?! 魚とうつ病の関係
年々増加の一歩をたどるといわれているうつ病。
WHO(世界保健機関)の発表によると、うつ病の人は世界で推計3億2,200万人にものぼるそうです。うつ病の増加は日本でも例外ではありません。
今回はうつ病に予防効果があるといわれている食べ物のお話です。
魚をたくさん食べるとうつ病リスクが減る?
「え? うつ病の予防に食事って関係するの?」と思われる人も多いのではないでしょうか?
でも、近年、脳機能の働きや心の病気と食生活栄養との関係を示すデータが、国内外のさまざまな研究によってあきらかになっているようです。
うつ病についても、病気発症の予防になると考えられる栄養素がいくつかあって、その1つが、魚の油に多く含まれるオメガ3脂肪酸なのだそうです。
先日、国立がん研究センターと慶応大学チームによる疫学調査で、魚を多く食べる人はうつ病のリスクが減ることが確かめられたというニュースがありました。
なかでもオメガ3脂肪酸に分類されるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタ塩酸)の摂取量が多いと発症率が低くなった、とのこと。
魚好きにはうれしいニュースですね。
DHA、EPAに関するさまざまな研究
もちろん、うつ病の発症には、ストレスや環境の変化、病気などさまざまな要因が複雑にからまりあっているといわれます。
ただ、単純に魚を食べてさえいればうつ病にならない、というわけではないのでしょう。
でも、魚の消費量が低い国はうつ病の発症率が高いという研究結果も出ているそうですし、心理的なストレス下にある学生を対象とした研究では、DHAを摂取しているグループはそうでないグループに比べ、敵意性が低いという結果が出ているそうですから、魚の油に多く含まれるオメガ3脂肪酸の力に期待したいところですね。
ちょっと余談になりますが、そもそもDHAが注目されるようになったのは、1989年に英国の脳栄養学者マイケル・クロフォード博士がその著書の中で、「日本の子どもの知能指数が、欧米の子どもの知能指数に比べて高いのは、魚を多く食べて来たから」と指摘したことがきっかけだといいます。
それから約30年。
魚離れが進む日本人にとっては、ちょっと耳の痛い話ですね。
魚はめんどう、という人は缶詰を利用してみては?
ところで、DHAやEPAが多く含まれる魚は、イワシ、マグロ、サンマ、アジなどの青魚というのはよく知られています。
マグロなら、トロの部分に多く含まれているそうですが、毎日トロの刺身を食べていたら、家計がひっ迫してしまうかも……。
また、そもそも青魚は苦手だという人や、魚は調理やあと片付けがめんどうという人もいるでしょう。
そんな人におすすめなのが、サバ缶やツナ缶などの缶詰です。
缶詰なら手軽に食卓に出せるし、青魚が苦手でも例えばツナ缶なら食べられるという人も多いようです。
魚を食べるときにいちいち骨をとる必要がないどころか、骨ごと食べられるのも大きな利点。
缶汁のなかにもDHAがたくさん含まれているようですから、缶汁も捨てずに使いたいですね。
<参考URL>
*「うつ病患者、10年で18%増 早急な対策必要とWHO」(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG25H48_V20C17A2000000/
*「うつ病の人は世界で3億2千万人 WHOが推計」(サイエンス ポ-タル)
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2017/02/20170228_01.html
*「疫学調査 魚食べる人、うつ病リスク半減」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20170927/k00/00m/040/174000c
*「DHAのチカラ」(マルハニチロ)
・https://www.maruha-nichiro.co.jp/dha/dha40000.html
・https://www.maruha-nichiro.co.jp/dha/dha60000.html
*「子どもの魚離れがもたらす影響」(水産庁)
http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h20_h/trend/1/t1_12_1_3_01.html