プリン体を食べなければ痛風は防げるのか?
「プリン体ゼロ」などといったアルコール飲料があるように、
プリン体という言葉が広く知られているようです。
痛風を防ぐにはプリン体が多く含まれている食品は食べないほうがいい、
といったことも耳にします。
では実際に、プリン体を摂取しないことは可能なのでしょうか?
通風は今や国民病?
風が吹いただけでも痛いといわれる「痛風」、
幕末のころまでの日本には存在しなかったらしいです。
明治以降、食事が洋風化して、肉類を食べることが多くなるにつれて増加していったようで、
とくに経済成長が著しかった1960年代から増えはじめ、
現在では70万人もの人が痛風に悩まされているそうです。
かつては高脂肪、高タンパクといった西洋風の食事が原因とされたことから、
「ぜいたく病」などと揶揄された痛風でしたが、
いまでは「国民病」といわれるほど、特にめずらしくない病気になりました。
その痛風の原因とされているのがプリン体。
ビールはプリン体が多いとか、白子とかレバーもね……などと話しながらビールをグビグビー、
レバーの串焼きをワシワシとやっている人をよく居酒屋などで見かけますが、
実際のところ、ふだんからプリン体のことを気にしながら飲んだり食べたりしている人は
少ないように思います。
その証拠に街には「やきとり」というもつ焼きの店が暖簾を連ね、どこも大にぎわいです。
美味のもとプリン体は、「やめられない」「止まらない」?
ブタやトリ、ウシのレバー、腎臓といった内臓系の肉や
イワシやアジなどの干物魚にはプリン体が多く含まれていることは、
いまではたいていの人が分かっています。
「分かっちゃいるけど、やめられない」状態ということなんでしょうか。
では、プリン体が多く含まれている食品をまったく食べなければ
痛風になるのを防ぐことができるのでしょうか?
じつはプリン体は細胞の核酸(遺伝子)に含まれている物質らしく、
動物に限らず植物も含めて、ほとんどの生物にプリン体が存在しているのだそうです。
ですからプリン体をまったく食べないことは不可能というわけです。
一方でプリン体は「旨味成分」でもあるらしく、
プリン体が多く含まれる食べ物は「おいしい」ので「やめられない」
ということにもなるわけですね。
食べ物のプリン体はそんなに気にしなくてもいい?
リン体が多く含まれる食品には、レバーや魚の干物以外にも
アンキモやエビ、イワシ、カツオといった魚介類や干し椎茸などにも多く含まれています
(公益財団法人痛風財団/食品・飲料中のプリン体含有量 http://www.tufu.or.jp/gout/gout4/447.html)。
……どんどん食べられる範囲が狭まっている感じがします……。
じつは痛風の原因となるのはプリン体そのものではなくて、
プリン体が代謝されてできる尿酸という物質だそう。
尿酸が増え過ぎると結晶となって関節などにたまり、
それこそ「風が吹いても痛む」ほどの激しい痛みをともなう
痛風発作を引き起こすというわけです。
尿酸を増やさないためにはプリン体を摂り過ぎなければいいのでは? と思いますよね。
でも、ことはそう単純でもないらしく、
じつは食べ物から摂取するプリン体は全体の2割程度しかなく、
8割は体内でつくられるのだそうです。
つまり食べ物のプリン体はそれほど気にしなくてもいいということらしいです。
とはいっても、もちろんプリン体の摂り過ぎはやめたほうがいいのは当然です。
体の余分な尿酸は通常、オシッコや汗となって体外に排泄されるそうです。
この尿酸の入りと出がバランスよく働いていれば問題ないのでしょうが、
なかには出のほうが悪い人もいるみたいで……
尿酸値が高い人の9割は尿の排泄がうまくいかないという調査もあるようです。
この尿酸の排泄を悪くする原因となるのは「体質」
……そしてもう1つは「肥満」だそうです。
やはり「肥満」ですかあ……。
次回は、尿酸値を上げないための生活習慣について考えたいと思います。
<参考図書>
*「転ばぬ先の玉手箱」(万来舎)
<参考URL>
*「痛風を知って、痛風を予防しよう」(公益財団法人日本痛風財団)
http://www.tufu.or.jp/gout/gout4/447.html
*「ガッテン〜プリン体じゃなかった!尿酸値を下げる秘策SP」(NHK)
http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20170104/index.html
*「痛風、ぜいたく病から“国民病“に」(産経ニュース)
http://www.sankei.com/life/news/170330/lif1703300003-n1.html