アイデア・ひらめきは「ウォーキング」から
今回はひらめきをもたらす、
脳の「デフォルト・モード・ネットワーク」と「ウォーキング」のお話。
「デフォルト・モード・ネットワーク」については
「NHKスペシャル「“脳”すごいぞ! ひらめきと記憶の正体」(2018年2月4日放送)でも紹介されていたので、ご存知の方も多いかもしれません。
ひらめきとウォーキングに、どんな関係があるのでしょう。
ボーッとしているときこそ脳が重要な働きをしている?
「デフォルト・モード・ネットワーク」については、
当コラム「ぼんやり時間」がひらめきをもたらす」でもとりあげていますが、
ここで、もう一度おさらいしてみましょう。
これまで、何も考えずにボーッとしているときは、
脳が休んでいると考えられていました。
しかし、脳機能の研究により、
近年ではこの「ボーッとしているとき」こそ、
脳がきわめて重要な働きをしていることがわかってきました。
それが「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれるものです。
脳のアイドリング状態が、ひらめきを生み出す?
デフォルト・モード・ネットワークは、
複数の脳の領域で構成されるネットワークで、記憶を呼び起こしたり、
未来の行動の計画を立てたりするのに重要な役割を果たしているそうです。
ものごとに集中するということから離れることにより、
このデフォルト・モード・ネットワークが働いてさまざまなことを整理してくれる――それがひらめきに結びつくといわれています。
ボーッとしているときは、実は、意識的な活動を行っているときの
なんと20倍ものエネルギーを消費しているのだそうです。
つまり、ボーッとしているときは、脳が休んでいるどころか、
すごいエネルギーを使って、別の意味で脳が活動しているというわけです。
アメリカの一流エグゼクティブたちが実践している「ウォーキング会議」
デフォルト・モード・ネットワークを働かせるには、座禅などもよいそうですが、
散歩やウォーキングなど、歩くことも優れたひらめきや直感を生み出してくれるといわれています。
たとえば、有名なのがアップル社の創業者の1人故スティーブ・ジョブズ氏が
好んで取り入れていたのが、ウォーキング会議なのだそうです。
ウォーキング会議とは、オフィスから飛びだして、
オフィス街や公園など屋外で、歩きながらミーティングを行うというもの。
フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグや
Twitter 創業者ジャック・ドーシー氏もウォーキング会議を取り入れているそうです。
そういえば、古代ギリシャの哲学者プラトンは歩きながら講義をしたといわれています。
またカントやニーチェ、西田幾多郎など、
歩くことを日課にしていた偉大な先人が数多くいます。
「歩けよ。さらば“ひらめき”を与えられん」……というのは大げさでしょうか?
<参考URL>
*脳科学の最前線を行く――飛躍的に進む瞑想研究(Nippon.com)
https://www.nippon.com/ja/views/b06105/
*『会議を効率化するためには、歩け! 「散歩ミーティング」が静かなブーム』(CNN.co.jp)
https://www.cnn.co.jp/business/35030256.html
*『「ウォーキング会議」が創造性も集中力も上げる』(DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー)
http://www.dhbr.net/articles/-/3638
*「『歩く』効果・効用とそれを習慣化する方法の整理」(国土交通省)