EPAは血管、血液の健康、DHAは脳の活性化?
魚は健康にいいということで、「魚食」は世界的に流行しているそうです。
なかでも注目は魚に含まれるEPAとDHAという脂肪酸。
この2つも脂にはどんな違いや役割があるのでしょう?
健康によいEPAにDHAの違いって?
いまや世界中で注目が集まっているらしいDHA(ドコサヘキサエン酸)と
EPA(エイコサペンタエン酸)ですが、
昔から魚を食べる習慣のある日本人とは古い付き合い、すっかり馴染みの食材です。
EPAが脚光を浴びるようになったのは1960年代だそうで、
グリーンランドのイヌイットの疫学調査がきっかけだとか。
その後、1980年代後半から90年代後半にかけて研究がすすみ、
日本の子どもの知能指数の高さと魚食の関係とか、
魚を多く食べる国では憂鬱になる頻度が低いといったことがいわれ、
DHAとEPAに注目が集まるようになったといわれています。
おかげで、魚といえばEPAにDHAと即座に連想されるのですが、
この2つの脂が健康にいいということは分かっても、
その違いについては、あまり知られていないかもしれません。
DHAは脳の活性化、EPAは血管の健康維持に効果的?
EPAとDHAはどちらも必須脂肪酸といわれる脂のこと。
これら2つの脂は体を構成する成分で、健康に不可欠なものなのですが、
人間の体内ではつくられず、食べ物から摂取するしかないので「必須」ということらしいです。
EPAとDHAの違いはなんでしょう。
EPAは血管や血液の健康維持に大きくかかわっているといわれています。
血液をサラサラにして血栓をできにくくしたり、
中性脂肪値や血圧を下げる効果があるとされています。
その結果、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞を防いだり、
血管年齢を若く保つといったこともいわれています。
最近は医学の分野でEPAの働きが注目され、
純度ほぼ100%のEPAが高脂血症や閉塞性動脈硬化症の医療用薬品として使われているのだそうです。
DHAは脳や網膜の神経系にたくさん含まれることなどから
脳の活性化に関係することがいわれています。
そんなことからかつて、「DHAを食べると頭がよくなる」などといわれたりしました。
魚離れで脳と血管の健康は保たれるのか?
脳と血管の健康を保つなど、体にとっていいことづくめの魚ですが、
問題は最近の魚離れの傾向。
魚は調理が面倒とか、魚の匂いがとか、骨がのどに刺さるのがねえ……など、
国内では魚に逆風が吹いています。
水産庁のデータでも平成18(2005)年に1日当たりの摂取量で
肉(80.4グラム)が魚(80.2グラム)を逆転、
平成21(2008)年にその差(肉:82.9グラム/魚:74.2グラム)が広がってしまいました。
外食も何となく魚には分が悪く、
焼き魚、刺身より、焼き肉、ハンバーグ、生姜焼きいったことについなってしまいがち。
それでもやはり魚のEPAとDHAの健康効果を考えると、
「もっと魚を!」という水産庁の訴えも分かります。
ちなみにEPA、DHAには前述の脳や血液、血管の健康以外にも、
肝臓がんや男性の糖尿病の予防、肥満の抑制、アレルギー症状の改善、
うつ病の緩和、認知症の予防などにも効果があるといわれているようです。
ただ世界的な魚食の広がりからか、マグロはもちろん、イワシやサンマなどのいわゆる大衆魚も
高嶺の花になりつつあります。
魚の健康効果もわかるけど……でも、やはりしょう油にまみれた肉が火に炙られる
あの匂いが「たまらん!」という人、やはり多いのではないでしょうか。
そんな「ごめん! 魚くん!」という人に、
次回は魚の脂と肉の脂の違いなどについて紹介したいと思います。
はたして魚に勝ち目はあるのか!?
<参考資料>
*「日本の魚」(東京新聞日曜版/2018年1月28日)
<参考URL>
*「EPAは今注目の健康成分です」(ニッスイ/日本水産(株))
*「青魚のサラサラ成分DHA&EP」(サントリーウェルネスOnlone)
https://www.suntory-kenko.com/contents/brands/dha/seibun/shoku_nihon.aspx
*「水産物の消費・需給をめぐる動き」(水産庁)
http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/H27/pdf/27suisan1-2-3.pdf