眠れぬ夜の「ナイトキャップ(寝酒)」の落とし穴
眠りたいのに、なかなか眠れない……
こんなときには、お酒の力を借りて、という人も多いのではないでしょうか。
でも、眠る前のアルコールは、かえって安眠を妨げてしまうことをご存知でしょうか?
お酒に頼るのは逆効果
欧米では、「ナイトキャップ」といって寝つきをよくするために、
眠る前にブランデーなどの強めのお酒を少量たしなむ習慣があるといいます。
「ナイトキャップ」などというと、暖炉の前でロッキングチェアーを揺らしながら、
手のひらをゆらりゆらりと傾けながらブランデーを飲むシーンなんかが、浮かび上がってきます。
ゆったりリラックスして、いかにもよい眠りにつけそうな感じがしますが、実際は逆効果。
お酒に頼って眠るのはよくないといわれているのです。
なぜなのでしょう?
入眠効果はあっても、睡眠の質が悪くなる
たしかにお酒を飲むと、寝つきがよくなるという入眠効果はあるようです。
しかし、問題は、そのあと。
眠りが浅くなって、睡眠の途中でたびたび目覚める中途覚醒や、明け方の3時、4時に
目覚める早朝覚醒が増えるのだそうです。
また、アルコールには利尿作用がありますから、夜中頻繁にトイレに行ったり、
のどが渇いて何度も目覚めたりして、よけいに熟睡できません。
浅い眠りと深い眠りが交互に訪れるのがよい睡眠ですが、
アルコールを飲んで眠ると浅い眠りばかりが続くために、結果として脳や体の疲れがとれないのです。
寝酒をする人はそうでない人に比べて疲れを感じやすいとする報告もあるそうですよ。
また、アルコールを飲むと、気道の周辺の筋肉がゆるんで、
睡眠時無呼吸のリスクも高くなるといいます。
アルコール依存症につながりやすい
さらに寝酒の大きな問題点は、アルコール依存症につながりやすいことだといわれています。
「毎晩飲むクセ」がつくと、「お酒を飲まないと眠れない」と思うようになります。
また、体に耐性ができて、お酒の量も増えていってしまうそうです。
最初は寝る前に、軽く1杯のむだけだったのが、やがて2杯になり、3杯になり――
アルコール依存症の道へまっしぐら、ということにもなりかねません。
ノンカフェインの温かい飲み物をゆっくり味わって、心地よい眠りに
ところで、アルコールとともに、よい睡眠を妨げる飲み物としては、
コーヒー、紅茶、緑茶、ココアなどのカフェインの入った飲み物があげられます。
したがって、就寝3~4時間以内のカフェインの摂取は、控えたほうがよいとされています。
では、どんな飲み物をとるとよいのでしょうか。
おすすめは、カフェインの入っていない温かい飲み物。
たとえば、あたたかい麦茶や白湯、ホットミルク。
また、気持ちを落ち着かせてくれるカモミールやリラックス効果のあるラベンダー、
不安な気持ちを鎮めてくれるレモンバームなどのハーブティーもよさそうです。
人間は体温が下がると眠くなります。
温かい飲み物で、深部体温を上昇させると、 体温が下がり始めるときに自然な眠気が起きるそうです。
眠りが気になる人は、ぜひ試してみてください。
<参考URL>
*アルコールの作用(e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-003.html
*「睡眠よもやま話」(日本大学医学部附属板橋病院)
http://www.med.nihon-u.ac.jp/hospital/itabashi/sleep/column.html
*健康管理「快眠のためのストレス解消法」(大口クリニック)
https://ohguchi-clinic.com/category/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E7%AE%A1%E7%90%86/