
働き盛りが感染しやすい「風しん」のお話
今年は、風しんが大流行していて首都圏を中心に風しん患者が増加しているようです。
今回は気になる風しんのお話です。
風しんの流行
国立感染研究所が9月19日付に発表した「首都圏における風疹増加に関する緊急情報」によると、2018年第1~36週の風しん患者累積報告数が496人となり、第35週までの累積報告数362人から134人増加したと報告しています。
2018年は第35週時点で2008~2011年及び2014~2017年の年間累積報告数を超えているとのことですから、今年は風しんが猛威をふるっているようです。
主な感染ルートはせきやくしゃみなどの飛沫感染
東京都感染症情報センターのホームページによると、風しんとは風しんウイルスによる感染症で、
主な感染経路はせきやくしゃみなどの飛沫感染。
手に付いたウイルスが口や鼻について感染する接触感染もあるそうです。
風しんの症状は子どもがかかると比較的軽いといわれていますが、大人がかかると子どもに比べて発熱や発疹の時期が長いとされています。
妊婦さんは感染に要注意
また、問題となるのが妊婦さんの感染だといいます。妊娠初期に風しんに感染すると、先天性風しん症候群をもつ赤ちゃんが産まれる可能性があるとされています。
風しんのワクチンは妊娠中は受けられず、ワクチン接種後は2か月間妊娠を避ける必要があることから国立感染症研究所は「今後妊娠する可能性のある女性は2回の接種を受けておくこと、また妊娠出産年齢の女性及び妊婦の周囲の者に対するワクチン接種を行うことが重要である」としています。
成人男性の患者数は、成人女性のなんと約4倍も!
風しんというと子どもの病気のイメージがありますが、「首都圏における風疹増加に関する緊急情報」(国立感染症研究所)によると、報告患者の約9割が成人で、男性患者数は女性患者数のなんと約4倍も多いのです。
特に30代~40代の男性が多く男性患者数の約6割も占めているそうです。
男性の働き盛りが危ない
平成25年度の国の調査では、予防接種を受ける機会のなかった20~40代の男性の約12.3%が風しんへの抗体を持っていなかったとしています。
平成2年4月2日以降に生まれた人は、ワクチン接種を2回受ける機会があったそうですが、それより年齢が上の人は風しんのワクチン接種を受けても1回、また昭和54年4月1日以前に生まれた男性は1回もワクチン接種を受ける機会がなかったそうです。
他人事と思わずに考えたい「風疹対策」
風しんは感染力が強く、症状が出る前後1週間は人にうつす可能性があるそうです。
また風しんウイルスに感染してもあきらかな症状が出ない人もいるといいますから、知らず知らずのうちに、人にうつしている可能性もあるようです。
働き盛りの世代が多い風しんの感染。感染経路が職場であることも多い事から、国は職場での風しん予防対策を呼びかけています。
妊娠を希望する女性の周囲にいる人(家族や職場)、とくに感染する可能性が高い男性は、「風しんの流行は他人事」と思わずに、感染拡大を予防するために抗体検査やワクチン接種を受けることを検討してみてはいかがでしょうか?
<参考URL>
*「首都圏における風疹増加に関する緊急情報」(2018年9月12日現在:国立感染症研究所)
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/rubella/180912/rubella180912.pdf
*「風しん」(東京都感染症情報センター)
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/rubella/
*「なぜ大切? 風しんワクチン」(厚生労働省)
*「あなたの職場でも風しん予防対策されていますか?」(厚生労働省)
*「職場でみんなで風しん対策 風しんの予防接種を受けましょう」(厚生労働省)