茶色い食べ物は体にいいのか、それとも不健康か?
前回はパンの話にからめて「茶色い食べ物は体によくない」といったようなことを書きましたが、一方では、「茶色い食べ物こそ健康にいいのだ」といった意見もあるようです。
さらには「むしろ白い食べ物が健康に悪い」といったこともいわれているようです。
どちらがいいか悪いかといったことはさておいて、今回は食品や食べ物の色と健康について考えてみました。
どんな白黒がつけられるでしょうか……?
茶色の食事……かつては煮物、納豆。いまは唐揚げ、ハンバーグ?
ふだんから食べ物や食品の色を気にして食事をとっている人は、どのくらいいるでしょう?
多くの人はほとんど色など気にしないで、好きなもの、そのとき食べたいものを食べているかもしれませんね。
いまでもよく「茶色い食べ物は体にいい」とか「悪い」とか、いろいろいわれているようですが、もともとは「茶色の食品」といえば玄米や全粒粉、黒砂糖とかキビ砂糖など精製されていない食品を指していたみたいです。たしかに栄養がありそうですね。
料理でいえば、茶色はたとえばゼンマイやフキ、ダイコンなど野菜の煮物とかキンピラゴボウ、ナメコおろし、煮魚といったあたりが茶色い料理でしょうか……って、これ和食ばっかりですね。
それもおふくろの味といった昔っぽい感じの……。
こんなメニューなら体によさそうな感じではあります。でも、実際に家庭の食卓に上るチャンスはどのくらいあるんでしょう?
むしろいまは、茶色い料理といえば、鶏の唐揚げ、トンカツ、焼き肉、ビーフステーキ、ハンバーグ、カレーやビーフシチューといったところが真っ先に頭に浮かびます。こちらのメニューは和食と違い、食べ過ぎに注意的な「体に悪い」イメージがありますね。
「茶色い食べ物は体に悪い」といったことがいわれるようになった理由は、こんな食の洋風化にあったのかもしれませんね。
白い食べ物は体に悪い?
ただ、茶色だけが体に悪いわけというだけではなく、「白い食べ物は体に悪い」ということもいわれているようです。
でもこれは「茶色はいい」の裏返しのようなもので、白米、上白糖、白いパン、スパゲッティといった精製した食品は、ビタミンやミネラルなどが精製していない食品よりも低かったり、GI値いわゆる血糖値の上昇の仕方が早かったりなど、健康面でみれば「悪い」イメージがその背景にあるようです。
ちなみに三温糖ってありますね。
あれは上白糖を煮詰めて茶色にしたもので、製法に違いはなく、砂糖としてはどちらも同じだものだそうです。
食べ物を色で分類すると……
もともと食材を色で分類するやり方は東洋医学などにもあるようです。
栄養のことを細かく考える必要がなく、色を考えるだけで健康的な食生活が送れるということなので、ふだん忙しくて食べ物や栄養に無頓着な人には向いているかもしれないですね。
黒、緑、赤、黄、白の5つの色で食材を分類するそうなのですが、黒には、ワカメ、昆布、ヒジキなどの海藻類、キノコ類、黒ゴマなど、緑にはホウレンソウ、小松菜など多くの野菜類が含まれます。
赤は、肉類、ハム、マグロなどの赤身の魚、トマトなどの赤い野菜、黄は納豆、湯葉などの大豆製品、カボチャ、サツマイモ、ミカンなどの柑橘類、白は白米、めん類、パン、牛乳、豆腐などがあるようです(「世界一シンプルな『食』習慣」/杉本恵子・著より)。
栄養的には、黒は腸内環境の整備、緑は活性酸素の増加の抑制、赤は免疫機能を高め、黄は余分な脂質を排出、白は主にエネルギー関係……など、それぞれ大切な働きがあるらしいです。
人は食べたものでできている。固食の人を絵に描くと……?
料理は視覚でも味わうといわれます。
たくさんの色が散りばめられた料理は食欲を刺激します。
……とはいっても、そんな彩りなんて考えた、こじゃれた料理はできない、したくないし面倒くさいという人はどうすれば?
残念ながら1つの食材で必要なすべての栄養を補うことはできないので、あれこれ食材を違えて食べるしか方法はありません。
人は食べたものでできているとよくいわれます。
ラーメンしか食べない人はラーメンで、ケーキを主食にしている人はケーキで、ポテトチップスを食事代わりにしている人は……?
ジュゼッペ・アルチンボルドという16世紀に活躍したイタリアの画家がいます。
いわゆる「だまし絵」といわれる彼の絵は、野菜や花、植物、動物などを寄せ集めて描いた奇妙な肖像画が特徴です。
もしアルチンボルドがそんな固食にこだわる現代人を描くとしたら?……かなり不気味な絵ができるでしょうね……。
<参考図書>
*「世界一シンプルな『食』習慣」(杉本恵子著/クロスメディア・パブリッシング刊)
*「別冊きょうの健康 油断大敵!内臓脂肪」(NHK出版)
*「五訂版最新食品標準成分表」(㈳全国調理師養成施設協会編)
<参考URL>
*「食育なび」(さいたま市)
http://genki365.net/gnks18/pub/sheet.php?id=267