プラスコラム
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質の良い眠りにつなげるお風呂の効用

日本人の全体の約2割が不眠に悩んでいるといわれる日本。

不眠に悩む人は多いですね。

不眠対策はいろいろありますが、その1つが「体温」にカギがあるといわれています。

睡眠と体温にいったいどんな関係があるのでしょうか?

 

多くみられるのが入眠困難タイプ

すぐに眠れない入眠困難、夜中に目が覚めてしまう中途覚醒、眠りが浅い熟睡障害、目覚める時間が早すぎる早朝覚醒など、不眠にはいくつかのタイプがあるようです。

眠りたいのに眠れないというのは、それだけでもとてもつらいことですね。

 

体温と睡眠の関係

夜のカフェイン摂取を控えたり、寝室の環境を整えるなど、スムーズな眠りにつくための対策がいくつかあるようですが、効果的で意外と知られていないものに、体温コントロールがあるそうです。

ちょっとむずかしい話になりますが、体の中心部の体温を深部体温といい、1日のうちで昼間は高く、夜は低くなるといったリズムをもっているそうです。

ヒトはこの深部体温が低いと眠りに入りやすく、深部体温が上がっていくときに目覚めやすくなるそうなのです。

つまり、睡眠リズムと体温リズムはお互いに影響しあっていて、体温が下がっていけば自然に眠気が訪れてスムーズな眠りにつけるというわけです。

 

心地よい眠りは体温の上げ下げがカギ

そのために、重要な役割を果たすのが入浴だといわれています。

お風呂に入ると深部体温は急激に上がりますが、深部体温は急激に上がるほど急激に下がる性質があるそうです。

したがって、入浴により深部体温が上がったあとは、深部体温が急降下していきます。

そうして深部体温が急降下するほど強い眠気が訪れることが知られています。

入浴は、心地よい眠りにつくために1つのスイッチになるといえますね。

 

眠る90分ほど前に入浴を

ただし、眠る直前にお風呂に入ると、体温が下がりきらずに床につくことになります。

心地よい眠りにつくには、眠る90分ほど前に入浴をすませておくことがポイントなのだそうです。

きょうはクタクタだから、入浴なんてとても無理という日は、足湯でもある程度の効果が期待できるそうです。

試してみてはいかがでしょうか。

 

眠り始めの「深い眠り」が大事

ところで、睡眠は眠り始めの最初の90分が非常に大事だといわれているのをご存知ですか?

寝始めから最初の90分はとても深い眠りで、細胞の修復や疲労回復に役立つ成長ホルモンの大半が分泌されるそうなのです。

疲れているときは、お風呂がめんどうくさく思えるかもしれませんが、シャワーだけでは安眠は期待できないかも。

こんなときこそお風呂に入って、深い眠りにつきたいものですね。

 

不眠が長く続く場合は受診を

なお、不眠が長く続く場合は、その背景にうつ病など病気が潜んでいる可能性があるといわれています。

気になるときは早めに専門医を受診することをおすすめします。

 

<参考資料>

第16回プラスウェルネセミナー『よりよい睡眠と 健康・くらし・働きがい』

 

プロフィール

医療ライター
中出 三重

株式会社エム・シー・プレス勤務(医療ライター・編集者)

*出版社勤務、フリー編集者を経て、企画・編集室/株式会社エム・シー・プレス勤務。

*女性を取り巻く医療と健康、妊娠・出産・育児の他、予防医学、治療医学などを中心に、多くの単行本を企画・編集・執筆。

*楽しく食べること、おいしく飲むことをこよなく愛する。休日の楽しみは公園ごはんと街歩き。