血液はただの赤い液体じゃない?
血管の中を流れている赤い液体といえば「血液」ですが、ふだん血液のことなどあまり考えることありませんよね。
決して流れを止めることなく体じゅうをめぐる血液。その正体は?
血液は単に赤く染まった液体ではない?
血液検査ってありますよね。
健康診断ではおなじみの検査です。
血液を調べるだけで、体に今まさに起こっている多くのことが分かるって、すごいと思いませんか?
血液はいったい何をしているのか?
でもふだんはあまりにも当たり前すぎて意識のほか、そんなものあったっけ?……みたいな人もいるかもしれません。
「血は水よりも濃い」などという言い習わしもありますが、血液は単に赤く染まった液体でもなく、仲間内での血液型占いをするためでもなく、命をつなぐというとんでもなく重要な液体だったのです。
やはり血液は全身をめぐっている?
いまでは血液が全身をめぐっているというのは自明の理として定着しています。
でも17世紀にイギリスのウィリアム・ハーベイ(1578~1657年)という人が「血液循環説」を唱えるまでは、心臓を出た血液は栄養を全身に届けたあとは消えてなくなると考えられていました。
そんなことを考える人は現在ではさすがにいないでしょうけど、血液が何を運んでいるかを意識している人はあまりいないかもしれません。
血液はいったい何を体じゅうに運んでいるのでしょうか?
「運搬」「回収」「防御」の要?
ひと言でいうと「血液は栄養分を体のすみずみまで運び」「体の老廃物を回収してくる」といわれています。
運ぶものには、まず酸素、ぶどう糖、脂質、たんぱく質などの栄養素、ナトリウム、カルシウムなどがあるといわれます。
体内から回収するものとして、二酸化炭素や尿素、アンモニア、カリウムなどの老廃物があり、それらは肺や腎臓に運ばれ、呼吸や尿などとして排出されといいます。
この他、白血球が体に侵入した病原菌を排除して体を守る、出血したときに血小板などが血を止め傷口をふさぐといったかなり重要な働きもあるようです。
全血液の量は体重の約8%?
ところで人の全血液量はどのくらいあるかご存知でしょうか?
体重の約8%だそうです。
体重が60キロの人なら約5リットルの血液が流れていることになります。
さらに心臓が1回ドクンとすると40~100ccの血液が動脈に送り出されるといいます(これを1回心拍出量というそうです)。
たとえば心拍数が70の人の場合で、1回心拍出量が60だと仮定すると、1分間に4.2リットルの血液が体をめぐることになります。
ということは1分もしない間に心臓を出た血液は体をめぐって再び心臓に戻ってくる計算になります(所要時間については諸説あるようです)。
そんな血液にも寿命があるといわれます。
赤血球は100~120日で寿命を迎え、古くなると肝臓や脾臓で破壊されるそうです。
ちなみに血液が赤いのは酸素の運搬が主な赤血球の赤い色素が原因なんだとか。
白血球は約2週間、血小板は数日、リンパ球は数時間の寿命だそうです。
<参考資料>
*「血液はからだをめぐる 心臓・血液」(岩崎書店)
*「からだのしくみ事典」(日本実業出版社)
<参考URL>
*「『血の巡り』と血管のはなし」(養命酒(株))
https://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/trivia/060825/
*「心臓について…心臓のまめ知識」(湘南鎌倉総合病院)
http://www.kamakuraheart.org/heart-t1/t1-3.html