ホームのベンチの向きを変えて酔客の転落事故減少!?
春は何かと飲み会が多くなる季節。
酔客がホームから転落などという怖い事故も。
でも鉄道会社も転落事故防止にある秘策を考えたそうで……。
ホーム転落事故の約6割が酔客
あっちへフラフラ~、
こっちへフラフラ~。
ホームを歩いている酔客を見て「危ないなぁ」と思ったことはありませんか?
国土交通省の調べによると、2017年度におけるホームからの転落件数は2,863件。
そのうち、酔客による事故はなんと1,896件も!
2017年度に限らず、ホームで電車に接触して起こす事故の約 6 割は酔客によるものなのだそうです。
歩きはじめてすぐに起こる転落事故
そこで、JR西日本は、転落事故防止のために酔客がホームから転落する行動パターンを分析したそうなのです。
それによると、約6割がホーム上の酔客が突然線路に向かってまっすぐ歩き始めてそのまま転落しているとか。
しかも、歩きはじめて数秒後に転落するパターンが多いのだそうです。
ちなみに、残り4割の転落事故の状況は、立った状態から突然バランスを崩して転落(約 3 割)、ホーム端を線路と並行にフラフラ歩き足を踏み外す(約 1 割)事故であることが判明したそうです。
酔客の行動パターンに着目
これらの分析結果を受けて、2015年からJR西日本がとり組んできたのが、駅のホームのベンチの向きを変更することだといいます。
つまりベンチの向きをホームと並行していると、電車が来たときに酔客がベンチから立ち上がりフラフラとまっすぐ歩いてホームに転落するという行動パターンがあることに着目し、ベンチの向きをホームと直角に設置したそうなのです。
明確な数字は出ていないようですが、酔客の転落が減っているのは確かなようです。
まさに、発想の転換ですね。
人の行動は誘導されやすい?
それにしてもホームのベンチの向きを変えるだけで、酔客の転落事故が減るなんて、人の行動ってささいなことで変わるものなのですね。
ところで、コンビニやスーパーは、お客さまに店内全体を歩いてもらえるように、便用などよく買う商品を店内の端に陳列しているそうですよ。
また、レジ横にから揚げなどの惣菜が置いてあったり、ガムや電池などが置いてあることが多いのですが、これらはお財布を開けたときに目に入って買ってしまう「ついで買い商品」なのだとか。
私たちは自分の意思で行動しているようで、案外巧みに何かに誘導されているのかもしれませんね。
<参考資料>
*「ホームのベンチ 並行から直角」(東京新聞 2019年4月3日夕刊)
<参考URL)
*参考資料「駅ホームからの転落に関する状況」(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/common/001251591.pdf
*酔客の行動特性を踏まえた春期におけるホーム安全のとりくみについて」(JR西日本ニュースリリース 2015年3月19日)
https://www.westjr.co.jp/press/article/2015/03/page_6972.html