喫煙者に知ってほしい受動喫煙のつらい症状
タバコは吸う本人にとってもちろん有害ですが、タバコの煙を吸わされてしまう、受動喫煙の被害はさらに深刻です。
今回は受動喫煙症のお話です。
命を脅かす受動喫煙の健康被害
自分はタバコは吸わないのに、他人のタバコの煙を吸ってしまうことで起こる、受動喫煙の健康被害。
肺がんやぜんそく、心筋梗塞、脳卒中など、受動喫煙の深刻な健康被害が科学的にあきらかになっています。
タバコの煙にさらされて起こる症状
直接的な自覚症状としては、タバコの煙の刺激によって起こる、目の痛みや頭痛、吐き気、咳、のどの痛みなどの症状があります。
タバコを吸わない人は、たびたびこんな不快な症状を経験しているのではないでしょうか。
これらの症状は、タバコの煙に含まれる有害な物質に反応して起こるものです。
最初のころは、タバコの煙がなくなれば症状は治まっていたのに、くり返し受動喫煙にさらされることで、症状が悪化することが少なくないそうです。
タバコの煙がそばになくても……
さらに、症状が重い人は、直接タバコの煙にさらされなくても、喫煙者の吐く息や洋服のしみついた臭いによって息苦しくなったり、吐き気をもよおしたり、とつらい症状に悩まされるそうです。
分煙では不十分
仕切りを設けたり、喫煙室をつくったりと、さまざまな場所で分煙化が進んでいますが、専門家は分煙では不十分。
全面禁煙の必要がある、と指摘しています。
喫煙室があると、非喫煙者は一見タバコの煙から遮断されているように思えるかもしれません。
しかし、喫煙室のドアの開閉のたびに、たばこの煙が押し出されて拡散し、ほかの空間を汚染していきます。
分煙では、受動喫煙の害から逃れられないといわれています。
「タバコ臭」だけでも健康被害が
また、タバコのやっかいなところは、煙が消えたあとでもその成分がその場に残って、有害物質を放出し続けるところです。
「三次喫煙(サードハンドスモーク)」といって喫煙者の服や髪の毛、部屋の壁などに付いた目に見えない有害成分を吸入することにより、受動喫煙の悪影響があることも知られてきました。
ホテルに宿泊したらタバコ臭い部屋だった、タバコ臭のある人とエレベーターで一緒になった、部屋に入ってきた人がタバコ臭かった、タクシーの中がタバコ臭かった……こんなときは、否応なく残留タバコ成分を吸わされていることになります。
喫煙者に知ってほしいこと
タバコは、喫煙者にとっては「リラックスのための1本」なのかもしれません。
けれども、喫煙者がタバコの火を消しても、あとあとまで周囲の人に悪影響を及ぼしているということ。
また、非喫煙者に深刻な症状を引き起こし、人によっては大きな苦痛になることを愛煙家にはぜひ知ってほしいですね。
<参考資料>
「受動喫煙症 深刻な被害」(東京新聞 2019年1月8日)
<参考URL>
*冊子「あなたのため、そばにいる人のため 禁煙は愛」(日本医師会)