やっと一歩前進!? 日本の受動喫煙対策
2019年7月1日。改正健康増進法の一部が施行され、学校、病院、行政機関などが原則として敷地内禁煙となりました。
まだまだ受動喫煙対策がなっていないといわれる日本。
世界の中で日本の受動喫煙対策は、どのような位置にあるのでしょうか?
害の多い副流煙
ご存知の方も多いと思いますが、喫煙者が直接吸い込む煙を「主流煙」、喫煙者の鼻やのどから出てくるタバコの煙を「呼出煙(こしゅつえん)」、火のついたタバコの先から立ち上る煙を「副流煙」といいます。
いずれも有害物質が大量に含まれますが、とくに注意したいのが副流煙だといわれています。
主流煙よりはるかに濃度の高い有害物質も
喫煙者は、しばしば吸いかけのタバコを灰皿に置きっぱなしにすることがありますが、その吸いかけのタバコから出る副流煙には、主流煙より多くの有害物質が含まれていることが知られています。
副流煙の中には、主流煙の100倍以上の濃度で含まれる有害物質もあるようです。
受動喫煙の深刻なリスク
2016年の国立がん研究センターの発表によると、受動喫煙者は肺がんや脳卒中、虚血性心疾患などに罹患するリスクが高く、赤ちゃんにおいては、乳幼児突然死症候群のリスクが4.7倍にもなると報告されています。
これらの病気のうち、受動喫煙による死亡数の割合を推計すると、少なくとも受動喫煙を受けなければ、年間1万5千人がん等の病気でしななくてもすんだと発表しています。
ちなみに2018年の年間交通事故死亡者数は3,532人でしたから、1万5,000人という数値は、交通事故死の4倍にもあたります。
受動喫煙はまさに命にかかわる深刻な問題ともいえます。
喫煙対策は世界最低ランクの日本
世界水準からみると、日本は受動喫煙対策において遅れている国だといわれています。
WHO(世界保健機構)の調査(WHO report on the global Tabaco epidemic 2017)によると、世界186か国中、イギリスやカナダなど55か国は、公共の場8種類(医療施設、大学以外の学校、大学、行政機関、事業所、飲食店、公共交通機関など)すべてに屋内全面禁煙義務の法律があります。
世界の受動喫煙対策で、日本は最低レベルに分類されているそうです。
改正健康増進法施行でようやく1歩前進
2020年4月からは、改正健康増進法が全面施行となり、飲食店や事業所など多数の者が利用する施設で、原則、屋内禁煙(禁煙を認める場合、法令で定める要件を満たした喫煙専用室等の設置が必要)となります。
このたびの改正健康増進法により、日本はWHOによる規制状況の区分が、ようやく1ランクアップするといわれています。
しかし、まだまだ世界から遅れをとっている日本。受動喫煙ゼロにむけて、2歩も3歩も前進してほしいですね。
*報道発表資料「受動喫煙防止対策の強化について(基本的な考え方の案)」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000153190.html
*厚生労働省の最新たばこ情報「主流煙と副流煙」(厚生労働省)
http://www.health-net.or.jp/tobacco/risk/rs120000.html