過重なストレスから救うのは「鈍感力」だった!?
同じストレスを受けても、なんとなくストレスをかわせる人もいれば、深く考え込んでしまって、どんどんストレスをため込んでしまう人もいるようです。
今回はストレスをためやすい人の考え方のクセについてのお話です。
とっさに頭に浮かぶ否定的な考え
ストレスをためやすい人の考え方のクセというものがあるそうです。
たとえば、緊張してプレゼンで失敗してしまった・・・・こんなとき、みなさんはどんなふうに考えますか?
「失敗した。もうダメだ。立ち直れない」
こんなふうな不快な感情とともにパッと頭に浮かぶ否定的な考えやイメージを専門的には「否定的な自動思考」と呼ぶそうです。
ネガティブ思考がもたらすもの
こうしたネガティブな考えが頭に浮かぶと、ますます考えが否定的になるといいます。
「周囲から使えない奴と思われたのではないか」、「チームから外されてしまうかもしれない」などと、気持ちがへこんでいくほどに、態度や言動もさらにネガティブになりがち。
それが影響してさらに失敗を重ねてしまうこともあるかもしれません。
こんなふうにいわゆる物事に敏感に反応する傾向がある人は、ある意味でストレスをため込みやすいといえるようです。
考え方のクセを自覚する
といっても、なかなか考え方のクセを変えるのはむずかしいことですよね。
簡単に治れば、悩みの多くは消えてしまうかもしれません。
うつ病治療などに活用されている「認知行動療法」では、こうした考え方のクセである「否定的な自走思考」を自覚してより合理的な考え方ができるようにしていくそうです。
「本当にそうなのか?」と自問してみる
認知行動療法は専門家のもとで受けるのがいちばんですが、日常のストレス対処法としてそのエッセンスを応用することは出来そうです。
たとえば「プレゼンがうまくいかなかったとき」については、「自分はもうダメだ」という考えが浮かんだら「でも、本当にそうなのかな?」と自分に問いかけてみるのも1つの方法。
「今日は失敗したけど、自分は何もかもダメってことではないし……」。
こんなふうに頭に浮かんだ嫌な考え方をプラス方向に再点検していくことで、考え方のクセも少しはゆるめることができるのではないでしょうか?
より良く生きるために必要な「鈍感力」
ところで、みなさんは『鈍感力』という本をご存知ですか?
ちょっと古い話になりますが、この本は『光と影』『失楽園』『遠き落日』などの本で有名な作家渡辺淳一氏が書いたエッセイで、2007年に出版されてたちまちミリオンセラーになりました。
ずいぶんと前だから知らない人も多いと思いますが、このエッセイの中で、渡辺氏は、「この複雑な現代社会をより良く生き抜くためには、嫌なことをスルーできる、ある種の鈍さ『鈍感力』が必要である」説いています。
まじめな人ほど「鈍感力」を
そもそも「鈍感」という言葉は、あまりいいイメージがありません。
事実『大辞林』で調べてみると「感じ方の鈍いこと。気の利かないこと」とあります。
しかし、人間関係においては敏感であるより、少々鈍感であるほうがよけいなストレスを回避できそうです。
たとえば、LINEがすぐに既読にならないとき、敏感に反応して「無視されている」「嫌われている」といきり立つよりは「忙しいんだろうなぁ・・・・」と鈍く反応するくらいのほうが、嫌な気持ちにならずにすみそうです。
まじめな人ほど「嫌な出来ごと」がっぷり四つに組みがち。
そんな人ほど、ストレスがストレスを呼ぶ前に、渡辺淳一先生が説く「嫌なことをスルー出来る鈍感力」が必要なのかも……。
<参考資料>
*「鈍感力」(集英社文庫 渡辺淳一)
<参考URL>
*「うつ病の認知療法・認知行動療法 患者さんのための資料」(厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/04.pdf